このレビューはネタバレを含みます
『Gift』を観に行った際に本作の存在を知って鑑賞。すごく映像に引き込まれた。
物語を語らず、余白を残す静かな展開によって、そこに何かがあると強く思わせて来る作品でここまで語らず、空間や映像や役者さんのセリフ、たたずまいで物語が表現できることにまず驚き、とても不思議な感覚になった。
また、主人公含め、女性陣がとにかく美しく、凛とした女性しか出てこないのが素晴らしい。特に澁谷さんと松田さんが凄かった。澁谷さんは所作や表情で魅せるのが上手く、松田さんは体全てを使ってその人物を表現されていると強く感じた。（それから冒頭の母と娘のタバコシーンが最高すぎる。こんな女性になりたい）
物語の大まかな筋としては、母親の再婚によって、その娘が、再婚相手の兄弟の元へ養子に行くという話だとわかるが、そこに取り巻く親戚等について詳しく語られていかない。曖昧にできるだけしている感じで、登場人物の表情だけで読み取っていかなければならない。ただ、表情の変化等もそこまで大袈裟ではないので、語られない物語を観客が想像していくことになる。
だけど、そこにある何かについてははっきりと存在しているということだけは語られないのに伝わってくるのだ。これがとても映像として難しいことをやっているのだなと思って観られて良かったという気持ちになるし、引き込まれる要因だと思う。
観ていて感じたのは誰もが孤独を感じていて、本当の意味での理解や、人との繋がりの希薄さを強く感じた。最後の海でのシーンと、澁谷さんの表情。忘れなれないシーンで強く記憶にこびりつく作品だった。
トークショーでは女性陣と監督が登壇された。黒澤さんの映画の感想が的確すぎて、とても熱があって聞いていて涙出そうになった。松田さんも独特の雰囲気でカッコよく、澁谷さんはこの役にとても苦戦したと仰っていた。物語の筋として多く伝わるシーンはカットされたと聞き、意図的にぼかして曖昧にしているという事を聞けた。かっこいい女性陣に圧倒されてトークショーを見られて嬉しかった。
