このレビューはネタバレを含みます
ある意味、これこそが「人間賛歌」。
誰かの逮捕によって、なにも変わらない人達もいれば、逆にその事実によってアッサリと崩壊する人間関係もある。
変わらないのが素敵なのかと言えば、そんな感じでもない。結局は他人事なだけなのぁと感じさせられもし、それはそれでなんとも気持ちが悪い。
崩壊してしまう関係性は、側からみたら酷い話に見える。過ちを犯していない人間なんていないだろ、と鑑賞中は正義感ぶった思いにかられるが、実際におきたらどうだろう。例えば履歴書に「逮捕歴あり」とあったら、そりゃやっぱり採用するのには躊躇するだろうなぁ、とか。それでも逮捕の事実だけを見て否定する映画の登場人物を観て、やっぱり悪人のように思ってしまう。自分も同じ部分があるハズなのにね、これはこれでなんとも気持ちが悪い。
要するにそういう気持ち悪さがいっぱいある、そういう映画ではあるのだが、おそろしい事になぜだか鑑賞後の不快感はない。こんな気持ち悪い世界で暮らしたくないな、ともモチロン思わない。
なんでだろう。
これは、根底にある作り手の人間愛のようなものが大きく作用しているのかなと感じた。
ある意味、これこそが「人間賛歌」。なのかもしれないなと。