男たちがダークウェブ上にあるグロ動画にハマるが、ダークウェブの脅威は現実すらも侵食し始めて...というお話
よくあるアメリカの自主制作安っぽいホラー映画。しかしこの映画は実際のグロ動画を映画内に取り入れることで、なんと実際のグロ動画が含まれた自主制作安っぽいホラー映画となっている。
と言ってもそのアイデアが良い具合に作用しているわけでもなく、ただ「実際のグロ動画が含まれた自主制作安っぽいホラー映画」そのままで終わってしまった。
まず含まれるグロ動画はおっさん二人や生きたメキシコ、Funky Town、Kekma.netなどの有名なグロ動画しかなく映像自体に新規性は特に無い。それらの映像の挿入の仕方も「ネットでグロ動画漁るぜ〜」ぐらいの文脈でしか現れず、ただ「グロ動画を入れたかっただけ」という印象しか持てないのも弱い。(後半のネットの脅威が現実に侵食し、車のバックドアを開けたらグロ動画が流れたスマートフォンが置かれていて〜の場面は良かったものの、それぐらいか)
例えば『食人族』は「偽物の映像」と称しながら本物の処刑映像を流すことで現実とフィクションの死を錯乱させることに成功していたが、『Charlotte's Net』にはそのような批評性もあまり見られない。現実のグロとフィクションのグロを並列して配置させることで現実の死すらフィクションに内包される...という批評性は感じられるが、その割にはフィクションの方でのグロが一切無い(全てが現実のグロ動画で代用されている)ため「フィクション」的な批評性を表したにしては単純に弱すぎる。もしフィクションのゴアが強烈で現実の死とフィクションの死が並列に配置されていたなら印象は異なっていただろうけど、それならば『食人族』でとっくに錯乱に成功している。20年代の映画にも関わらず『食人族』に負けているのは流石に......