思わぬ拾い物的で意外と面白い(悲劇だけど)。1988年のTV映画。ブラッド・ピットのクレジット有り&セリフ有り出演作としてはこれが初。

実際に起こった若者たちによるアーミッシュ一家の赤ちゃん殺害事件を元に描いたもの。
信仰心と悪を裁くことの間で苦悩するアーミッシュのドラマだなぁ。

アーミッシュとはドイツ系移民の宗教集団で移民当時の質素な生活服装でテクノロジーに頼らず自給自足する生活を現在も維持している人々のことらしい。
ロン・パールマン演じる家長ジェイコブが髭ぼうぼうなのもアーミッシュは髭を大切にする現れ。

彼らが馬車で移動している時に若者4人がバカにて石を投げつけたら生後7か月の赤ちゃんに当たり死亡してしまう。

若者のイタズラでは済まされない事件だが、被害者一家がアーミッシュなので犯人を罰する当局の行為に協力するのは信念に反するらしく、捜査はなかなか進まない。

愛する我が子を失ったのに信仰心のためになにも行動しないのか。
苦悩はわからなくもないが、こうなったら信仰心どころではないと個人的には思う。信仰に無縁な自分はそう思うが彼らにとっては自分達を形成づけるアイデンティティのようなものかもしれないと推測すると、悩むのもわからなくもない。

娘が勇気振り絞って父に意見したシーンは印象的だった。
あの子もずっとモヤモヤしてたんだろう。
父の教えと信仰心も理解してるが、こういう事件は２度と起こってほしくない。その気持ちは周囲の大人たち誰よりも純粋で、人種や宗教を超えて平和を願うシンプルなものだった。

そのピュアな願いが周りを動かしたのはいい話だが、失った命はもう戻らない悲しみ、事件を起こした若者も取り返しのつかないことをしたことをずっと抱えて生きていくことになるんだろうな。