基本となるアイディアやプロットは抜群に面白く、2002年の段階でその後のテクノロジーをことごとく先取りしているのは興味深い。
ビッグデータが生み出す予測によってさまざまなシステムが動かされている現代社会にとっては、まさにタイムリーな作品と言える。
そのシステムを維持するために「マイノリティ」な部分をバグとして無視しなければならないというのも、いまなお考えさせられる現代のアポリアだ。
しかしその内容に反して、いささか映画としてのまとまりがなく、無駄な要素が断片的にとっちらかっているのが残念。
職人監督の円熟ゆえの「草書」と見るか、たんなる「不徹底」と見るかで評価がわかれそう。