くろいひとさんの映画レビュー・感想・評価

くろいひと

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ブラッド・ワーク(2002年製作の映画)

1.9


あまたの名作をつくった巨匠が、安物の2時間サスペンスドラマのような脚本で紋切り型の演出をした凡作。
メインのプロットがはじめから読めるのは仕方ないとしても、数十年前の過去のアクションの焼き直しのよう
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ふたりのマエストロ(2022年製作の映画)

2.0


プロットの単純さ(ラストまですべてが読める)のはひとまず置いて、主演のふたりがごく自然に演じている芝居に好感がもてる。

業界ものにありがちだが、リハーサルやコンサート関連のリアリティのない設定の風
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

1.6


ミステリーとしてはなかなか面白く、状況設定も展開もオリジナリティある原作の、とんでもなく低級な映画化。
一部のキャラクターに魅力がないわけではないが、どうしてこのような無惨な学芸会でよしとされるのか
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.6


前作『トップガン』からとてつもない時間が流れての続編だが、むしろこの端正な作品が存在するために前作はつくられたのではと捻くれたくなるほど充実した一本。

プロットも結末もすべては予想の範囲を超えない
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トップガン(1986年製作の映画)

2.1


かつては一世を風靡した一本も、時がたっていささか滑稽なダサさを纒ってしまったよう。

だが葛藤だの挫折だのという内面の演技のできない(することを求められない)トム・クルーズの俳優としての素質が、かえ
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ヒットマン:レジェンド 憎しみの銃弾(2019年製作の映画)

3.9


フィルム映画を思わせる陰影のコントラスト、計算されつくされた構図といった古典的な美しさと、現代的な感覚がみごとにマッチした傑作。
世界観にぴったりのレトロな音楽もまた洒落ている。
コッポラのあまりに
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KG カラテガール(2010年製作の映画)

1.3


のちに女優としての才能を開花させる武田梨奈の、まだあどけないながらもはっきりと見て取れる魅力と、アクションの本気度を楽しむだけの作品。
脚本、演出、撮影その他、素人の趣味の延長の範囲。

ただ、CG
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いざなぎ暮れた。(2019年製作の映画)

1.4


地域振興型としてまったく成功していないし、もちろん一般映画としては「成立」さえしていない。
これを観て美保関町の人々は喜んだのだろうか。

手作りでいいと思ったのかもしれないが、学生がつくってもこう
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海すずめ(2016年製作の映画)

2.3


伊達宇和島400年祭を記念してつくられた地域振興映画。

主演の武田梨奈をはじめ出演者には魅力的な俳優が何人もそろい、その演技に引き込まれるシーンも。
いくつもの要素がうまくかさなりあったプロットも
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宇宙戦艦ヤマト 完結篇(1983年製作の映画)

2.3


劇場版第4作にして(当時としては)完結編。

スケールはおおきく、設定もこれまで以上にていねいなのが面白い。
反面ドラマとしての求心力はうすく、復活した伝説の「あの人」の存在がかろうじてアクセントに
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ヤマトよ永遠に(1980年製作の映画)

2.0


テレビアニメスペシャル「宇宙戦艦ヤマト・新たなる旅立ち」をはさんでの続編となる劇場版第3作。

古代進と森雪がはなればなれになり活躍するという設定、サーシャという特別な存在の登場など、典型をはなれた
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さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち(1978年製作の映画)

2.3


たんなる総集編にすぎない劇場版第1作からすれば、さすがに映画としてはじめから企画されただけあって見ごたえがある。

第1作またはテレビ版第1シリーズのファンからすればこの悲劇的展開にはこころを揺さぶ
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宇宙戦艦ヤマト <劇場版>(1977年製作の映画)

1.6


ある意味その後おおくの類型を生むことになる伝説のアニメ初の映画版。

仕方のないことだが、半年にわたるテレビ放映版の出来の悪い総集編の域を出ることのない出来が残念。
それどころかテレビ放映時の作画の
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セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.6


無名の作家・赤川次郎と原作をもとに若き薬師丸ひろ子を得てつくられた名作。

粘るような独特のカメラワーク、乱暴なまでに勢いのある長回しをはじめ、随所に意欲的な演出がみられ見どころ満載。
ただし、中盤
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二代目はクリスチャン(1985年製作の映画)

3.5


いかにもつかこうへいらしい世界。
突拍子もない構成なのに妙なリアリティ。

素晴らしいのはベタなまでにエモーショナルになっていく終盤の圧倒的な盛りあがり。
兎にも角にも志穂美悦子の濃い演技も。
問題
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

3.5


出版業界や文学の世界がかかえる問題点のみならず、日本という国そのものが孕んでいるそれを、大上段に構えることなくさりげなくえがいた習作。

演出、カメラワークがていねいで古典的なのがよい。
大泉洋、松
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蒲田行進曲(1982年製作の映画)

3.8


熱量に満ちかつ周到なつかこうへいの世界を、よくもここまで映画という制約のなかで表現したという名作。
日本のいう社会に根強くのこるある種のメンタリティのたくみなカリカチュアであるとも言える。

主役の
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熱海殺人事件(1986年製作の映画)

1.8


どう考えても舞台でこそ生かされるつかこうへいのナンセンスな因数分解を、無理やり映画にするために展開してしまった一本。

さすがに後半は俳優陣の力技におもわずひきこまれるが、さらなる安易な蛇足でとど
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.3


ビートたけしの『浅草キッド』を原作とする映画化作品。

たけしの修行時代をえがくが、むしろたけしの目をとおして深見千三郎を主人公にえがいた映画である。
大泉洋をはじめとしてウデのあるある俳優がそろっ
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

2.3


列車のなかで出会った男女のわかれまでのひと晩をえがいた異色作。

異様なまでにリアルなタッチで進行する独特さが面白い会話劇。
そのふたりの会話が気の利いたものだと共感できるひとには、すてきな映画かも
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ラスト・ショー(1971年製作の映画)

3.8


アメリカのちいさな田舎町を舞台に、若者たちの欲望とその退屈さにみちた生活をえがく。

画面にあふれる息詰まるほどの閉塞感と、しだいに彼らからにじみでる内面のリアリティがみごと。
ことにラスト15分
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小河ドラマ 龍馬がくる【劇場版】(2018年製作の映画)

3.8


痛快コメディシリーズ第2弾。
前作『小河ドラマ織田信長』にくらべて格段に充実した一本。
骨太な舞台作品のような見ごたえがある。

説得力あるプロットを据えて磨きあげられた脚本もそうなのだが、この充実
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小河ドラマ 織田信長(2017年製作の映画)

2.4


狙ったものも含めてチープさに満ち溢れた作品だが、設定と展開がなかなか面白い。
細川徹の脚本の周到具合、三宅弘城の演技の(意外なほどの)真摯さに引き込まれる。

リトル・ブッダ(1993年製作の映画)

1.8


チベット仏教における輪廻転生をえがく作品。

ブッダの出家物語がどうしてもファンタジックになるがゆえに、それを少年が絵本を読むという枠組みのなかでかたらせたのはナイスなアイディア。

しかしながら現
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

4.0


ベルトルッチ監督の意欲的な一本。

いまとなってはそのプロットは使い古されたものにすぎず、「じつは」という結末に驚かされることもない。
しかし、それをおぎなってあまりあるのは、たくみに時間軸をずらさ
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

4.1


歴史スペクタクル映画というイメージとはうらはらに、細部まできわめてていねいに作られた傑作。

考え抜かれたカメラワーク、得も言われぬ雰囲気を醸し出す色彩、過剰になることのない演技、効果的だがさりげな
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8


キャンピングカーでの放浪生活をおくる人々のリアルな姿を、なかばドキュメンタリータッチでえがく秀作。
なんとリアリティにあふれる映像かと思ったら、主演のフランシス・マクドーマンドとデイヴィッド・ストラ
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キスキス,バンバン(2005年製作の映画)

3.2


メタ語りからご都合主義的ギャグまで満載の、コメディタッチの変則的ミステリー。

二転三転するストーリーそのものはたいしたことはないので、全編にわたってセンスのいい演出をあじわうだけで楽しい。

猿の惑星(1968年製作の映画)

3.1


衝撃的なラストで有名なSF映画の古典的名作。

ロケ地の荒廃した風景、猿たちの特集メイクの(当時としては)完成度などはもちろんのこと、文明批判、宗教批判などもまじえた(原作とはことなる)プロットがみ
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.4


脚本家ハーマン・マンキウィッツを主人公にして、名作『市民ケーン』の生まれる舞台裏をえがいた作品。

『市民ケーン』同様に回想シーンをおりまぜた構成や、あえて白黒で撮られた(その出来には賛否両論あるだ
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ゴーン・ガール(2014年製作の映画)

3.8


途中からがらりと風景のかわるドンデン返し系のサスペンス。
評価すべきはていねいな画面づくりと、フィンチャーらしいさりげないサウンドに演出された雰囲気。
多重な顔を見せるロザムンド・パイクの好演も。
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.0


本格ミステリーを思わせる舞台仕立てのなかでくりひろげられる過去の事件の解明と、ひとりの傷ついた女性のものがたりが交錯する力作。

ダニエル・クレイグとルーニー・マーラの魅力なくしては成立しない映画だ
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ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)

3.2


「悪い人間ではないがそう思われる生き方をする人間」であるマーク・ザッカーバーグを主人公にした、Facebook創業をえがく映画。

その創業の根底に拭い去れない劣等感があるというのは、シンプルながら
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ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008年製作の映画)

3.6


まずもってメイクと特殊効果の仕事ぶりが驚異的だし、それなくしてはそもそも生まれることができなかった映画。

くりかえし扱われてきた「人生と老い」というテーマを、主人公が歳をとるにつれて若返るという異
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ゾディアック(2006年製作の映画)

3.8


未解決事件を著したベストセラーを、その作家を主人公にして映画化した作品。

事件そのものよりも、事件に取り憑かれていくひとびとの心理的な葛藤を見せる。
未解決ゆえに決定的な結末をえがくことができない
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パニック・ルーム(2002年製作の映画)

2.0


フィンチャーがそれまで世に出した作品の周到さを考えればごく平凡ではあるが、ワンシチュエーションのサスペンスとしてそれなりにまとまった一本。

しかしながら、外部に助けを求めることのできる最大のチャン
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