TP

コンテイジョンのTPのネタバレレビュー・内容・結末

コンテイジョン(2011年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

 ソダバーグ得意の群像劇に錚々たる俳優陣が出演しており、この面々を想像すると華やかさを感じるのだが、予想もしない展開にいい意味で驚かされる。
 回想シーンでの出演はあるもののパルトロウは早々に感染して死んでしまうし(しかも頭蓋骨を開けての解剖までされてしまう!)、ウィンスレットはウイルス撲滅の中心人物になるのかと思いきや、中盤で感染し地方の体育館で苦しんで死亡。コティアールは終盤にある出来事を発端にストーリーから自ら離脱。
 誰が中心となることもなく物語は進んでいき、最後もウイルスに対する戦いの行方ははっきりせずにエンドクレジットとなる。
 正直、映画としてはまとまりがないし何かすっきりしない終わり方で、有名監督に豪華な出演者陣の割にほとんど話題にならなかった(と記憶している)のもわかる。

 というのが、もし公開当時に観ていたとしたらの評価になると思うが、コロナウイルスが蔓延している現状の中では本作の評価は大きく変わってくる。
 ワクチン開発に絡む国家を上げたビジネス的観点、SNSのフェイクニュースに振り回される人々と、適当なことを言いながらも富と名声を得ることに成功する発信者など、コロナウイルスの蔓延に伴う今の世界の状況をかなり的確に予見しているのは驚くばかりだし、ウイルスに対抗するスーパーマン(なぜか初めから抗体を持っているデイモンはいるが、かといって何もできない)も無敵のワクチンも登場しないということを冷徹に描いているところも現実味がある。

 一方でマイナス面もあって、致死率の高いウイルスが蔓延しているのに、出演者の大部分はマスクもせず(主要俳優がマスクしたら映画として成り立たないが)にベラベラしゃべり続けるとか、ワクチン打ってないのに打ったという証明を身に着けちゃいかんでしょ、しかも高名な博士が。とか、発生起源がそれだったらもっといっぺんに香港から大量感染者が出るでしょ、とか、今体感しているからこそ気づいてしまう甘い演出はあるものの、それを言っても詮無いところ。
 公開当時と今という観る時期の差により、+0.3~0.4点、評価はアップする。
TP

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