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コンテイジョンのserinaのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
3.0
話題作なので鑑賞してみました。
すごい!パンデミックの世界を上手く描いた!

ヒトからヒトへ感染するコロナウイルスは7種類あるとわかっていて、うち最新の3つが2002年のSARS。2012年のMERS。そして2019年のSARS-CoV2(感染症名:コロナウイルス19COVID-19)。

SARSは、コウモリから。
MARSは、ラクダから。
COVID19は、まだ解明されていないものの、コウモリからセンザンコウを媒介してヒトへ移ったという説が有力。

コウモリは、もともと何千種類のウイルスを発症することなく体内で持ち合わせていて、それが別の動物に感染するリスクがあるとされている。つまり、コウモリを直接的に搾取するヒトが感染することはあり得る話だが、コウモリが多く生息するエリアで畜産を営む場合、人間の育てる畜産動物がコウモリから感染し、それを搾取するヒトに感染するケースもあり得るということ。



(以下、ネタバレ含む)



ラストにかけて描かれるウイルスのルート。
ヒトによる森林破壊で、コウモリが居場所を求め、畜産動物のいる場所で排泄する。それにより、畜産動物がウイルス感染。感染した畜産動物を処理するヒトからヒトへ感染拡大。

今回のコロナウイルスとは、規模感や発症源が少し異なるものの、パンデミック発生後の社会の流れやWHOの対応、錯乱状態に陥りものの奪い合い、経済のインパクトを恐れて動く人々、ワクチン生産。9年前に作られていたと思うと、すごく社会の流れを読むのがうまいと思う。あとは、人種差別とか経済格差による感染率の違いとか、そこらへんが現実では浮き彫りになったよね。にしても「一人が死ぬと一人が棺で儲ける」って強い言葉だったなあ。

この映画とコロナウイルス19の今を生きる人間は、自分たちが地球の一部であり、この世に生息する動物や植物と同様の生き物であるということを再認識する必要があると思う。人間の利益だけのために、伐採される植物。人間の食べるためだけに、人工的に生み出される畜産動物。人間の住みやすいように舗装されたアスファルト。海には、大量の汚染物質の垂れ流し。人間の文明と技術の発展が、地球上の生命体に多大なる影響を及ぼし、窮屈にさせているのかもしれない、ということ。

コロナウイルス19のロックダウンにより、空気が綺麗になり、街には、車道に野生動物が歩き回り、海にはイルカが現れるようになった。たった1ヶ月弱、人間が動きを制御するだけで地球の変化は著しい。その事実を知った人間は、きっともう戻れない。文明を退化させるなんてことは不可能かもしれないけれど、それでも、自分たちがいかに地球を占領してしまっているかということに気づき、生活をほんの少し改め、自然の一部になる意識を持つだけで、何かが変わるかもしれない。
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