みむさん

ジャンプ、ダーリンのみむさんのレビュー・感想・評価

ジャンプ、ダーリン(2020年製作の映画)
3.3
祖母役クロリス・リーチマン最後の作品らしい。

ドラァグクイーンの心の葛藤と、彼と祖母との温かくもの悲しい物語。

元俳優でドラァグクイーンのラッセルが、恋人との関係に亀裂が生じ、行き場所のない彼は祖母マーガレットの家で一時的に生活することに。

ギラギラ派手なラッセルから一転、マーガレットと過ごす彼がすごく良い。
マーガレットも自身の健康や老いの問題を抱えているが、彼を温かく包む。LGBTQであることをわざわざ説明しなくても良い関係。

表面的には祖母と孫の温かい物語、だけど家族の過去が明らかになり、わりと重たさが漂ってくる。
一時避難的に祖母との暮らしを始めた彼がいつしか祖母との絆を強くしていく。

自分のことでいっぱいいっぱいだった彼が自分以外のことを考える。恋人との別れに端を発した予期せぬ生活が彼を成長させている。
しかし、その前向きな物語でありながら胸が張り裂けそうになる。

ドラァグクイーンを扱ったLGBTQの映画だからというわけではなく、普遍的までとはいかないかもしれないが孤独と悲しみを乗り越える誰もが当てはまる可能性がある、物語が進むにつれて共感度が高くなっていく映画で良かった。