もやし

もっと遠くへ行こう。のもやしのレビュー・感想・評価

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)
5.0
アマプラオリジナル。ミニシアター映画オタク必見。

SF映画って何でこう切ないんだろうね。「メッセージ」みたいなSFというテーマでヒューマンドラマを描く。


もう壊れゆくのをただ待つだけの地球。地球外で暮らすために様々な方法が検討されていた。

そんな中、田舎で昔ながらの生活をしている夫婦の元に夜に一台の車が止まった。こんな時間に誰かが来ることなんかないからかなり警戒。だが二人の名前も明確に知っている。恐る恐る開けると、背が高く穏やかな立ち振る舞いで低いトーンの声でシルバーのカラコン(まさか素の目?なわけないよね)したスーツの黒人男。独特すぎる。

地球移住計画の一環で、巨大な宇宙ステーションを作る必要があるのでその働き手として夫が選ばれたので、2年ほど宇宙ステーションで働いてくれ。奥さん一人なのは心配なので、夫と瓜二つの生命体を用意するのでそれで生活してくれ。

最初はもちろんハァ?って感じで何言ってんのこいつって感じ。そんな話信じられる訳がない。
拒否したら?と聞くと、男「これは警告です」「どういう意味だ?」「徴兵制度を知っていますか? それを断ったら、どうなるかわかりますね?」「俺達を脅迫してるのか?」ってな調子。

当然、瓜二つって何だよ! 俺は俺だよ! 代わりなんて務まるわけないだろ!
奥さんも何で二人が言い争ってるの!私の意見は聞かないの!?それにそんなの嫌よ! そんな理不尽な話がまかり通るの!?と猛反論。

でも結局決まったことなのでということで。

そこからは夫婦の切ない日々が映され続ける。一時期だけど離れると知ったら辛くて辛くて、たまに苦しみながら、たまに癒し合いながら。
この後の展開は恐らく、瓜二つの生命体との対面でどう感じるか、または近未来、これからどうなっていくのかなど。まあそんな感じなんだろうな、気になるな。
でもこういうラブロマンス切ないな。見ていて惹き込まれるし、たまに近未来特有の変な出来事もあったりで飽きない。

あと瓜二つを作るための男のインタビューがすごく嫌だった。二人から印象とか記憶とか価値観等々…しつこく聞く。
最終的には夫ブチ切れてたけどね。まあ当然だよね。自分のコピーとか、下手に自分より出来が良かったり、奥さんが感情移入しようもんなら、とか考えたらゾッとするよね。

ああ、何だかこういう映画良いな。地味な作りだけど近未来要素も沢山入ってて美しい人間ドラマを描いてて。ミニシアター映画だわーと思っていたら意外と収まるところに収まったのでより良かったです。
見終わった後タイトル見るとマジで切なくなります。

平均スコアがやたら低いのはラブロマンスに興味ない人多いからなのかな。
もやし

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