土平木艮

かづゑ的の土平木艮のレビュー・感想・評価

かづゑ的(2023年製作の映画)
5.0
●『らい病』の元患者(回復者)である宮﨑かづゑさんに密着したドキュメンタリー映画(※かづゑさん本人が『らい』という呼び名に対する想いが強い)。

●かづゑさんは、とても精神的に強い人で、とても頭の良い人。でも、それは発病して、療養所に入所して、いじめられて、自死まで考えて、家族や友人にや夫に支えられて、好きな読書があって…生き抜いてきた経験を経て培われたモノ。

●ご本人はこれまで『かわいそうなハンセン病患者』として扱われることを嫌い、撮影は断ってきていた模様。確かに本作を観ていると、そういう取り上げ方ではない。『一人の人間の生き方』を映し出している。

●『仏典にも聖書にも("らい"は)出てくる。人類の誕生と同時にあったもので、ハンセンさんの創った病気じゃないから、ハンセン病とは言いたくない』的なコトを仰っていた。当事者が言うから『深い』。

●『ちょっと自惚れさせてもらうなら、ちゃんと生きたと思う』って言葉も印象的。もっとちゃんと生きないとな…と、チョット我が身を反省する。

●78歳でパソコンを覚え、84歳で本を出版。現在も90歳を過ぎて新しいコトに挑戦してる模様。頭が下がる。

●旦那さんがすごく優しい方(残念ながら現在は他界されている)。その旦那さんも結婚するにあたって『断種』されてしまっている。非人道的。

●お母さんも、とても愛情深い方だったみたい。他のご家族も。人が生きて行くうえで『愛情』って、やはりとても大事らしい。

●『らい予防法』が1996年に廃止されたのは知ってた。でもそれまでは、らい病の治療に健康保険が使えなかったのは知らなかった。
土平木艮

土平木艮