納豆という概念

空飛ぶゆうれい船の納豆という概念のレビュー・感想・評価

空飛ぶゆうれい船(1969年製作の映画)
4.3
いかにも子供向けなタイトルから想像もできないぐらい骨太な社会派SF。
序盤の比較的ポップなホラー展開から、悪とは、敵の正体とは、と物語は奥行きを増す。クライマックスは冒険活劇となり、そして最後はヒロインと一緒にヨットに乗って終わる。
中でも「この王冠を集めている僕らこそボアを育てていたんだ」と主人公が悟るシーンが特にいい。二転三転しつつ進むストーリーの中で、唯一悪の存在だけがぼやっとしているが、ボアという存在だけでなく、ボアジュースを飲むことでボアを育てている自分たちも含めて悪なのだと考えると腹落ちする。
街を破壊する巨大ロボット、巨大怪獣、戦車、ミサイルといった、派手な脅威の裏にあるより恐ろしい存在を描き、当時の子供たちに突きつけたこの作品は間違いなく傑作。

23-05-3