たみお

トラペジウムのたみおのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
2.4
高校生ということを置いておいても主人公が人間として酷すぎる。ストーリーも多少のご都合展開には目を瞑る私でも目を開けられないほどだった。
このストーリーならまだ夢オチの方が物語としてまとまりが出るし、テーマ性も富んでくると思ってしまった。夢オチであってくれと本気で願った。
テーマ性という視点で見れば、「なりたいもの」というストレートなものだったのかもしれない。事実、夢オチではなく私の期待以上のまとめ方をしてくれた。終盤にかけての流れは評価したいが、それだけでは余りにも普通すぎて刺激がない。
あえて裏テーマ的なものを考えるのであれば、これは「更生」という言葉が当てはまると思う。
序盤で悪逆非道の限りを尽くした主人公が、それを認めて更生する(更生したという説得力のある描写が無かったのは置いておく)。
要するに、彼女は変われたのだ。人はなかなか変化出来ないものだ。
更生した不良よりも元から良い人の方が素晴らしいと世間では言うが、私は違うと思っている。信じた道がたまたま道理を通っていた人間よりも、信じた道を否定され歩き直した人間の方が素晴らしいと思う。
ただこうして作品の悪口を言うだけでは何も変われない。作中に出てきたSNSで誹謗中傷する人間と同じだ。
変わりなさい。そしてなりたいものを見つけて叶えなさい。そう言われたようで、若い輝きを失った私は悲しくなってしまった。
作中に出てくるような10代で穿った見方をしない若い人たちにこそ心に響く作品だと思う。
たみお

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