カプカ

トラペジウムのカプカのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
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アイドルアニメでありながら主人公が打算的で良い子じゃない設定が面白い
セルフプロデュースのビジョンの中ですれ違う想い、努力が必ずしも良い結果に向かうわけでは無い、自分が好きな事が相手も好きとは限らないほろ苦さを映しながら、歪ながら輝こうとした女の子達の青春物語でした。

原作者の高山一実さん曰く、展開から逆算してこんな子がアイドルになって欲しくないという主人公にしたのに、書いていくうちに愛着が出たとのことで
自身の真っ直ぐアイドルになれなかった経験や、エピローグのセリフは色んなアイドルの総括的なことを言う所など面白い主人公だな。

『トラペジウム』は『Wake Up, Girls!』みたいなセクハラしたり大人が悪いってタイプの嫌なアイドル話ではなく
セルフプロデュースするが自分以外見えてないという呪いとなった夢の話で
露悪的な所がある主人公だけど、悪意ではなく当人は天然でみんなのためやってるってのが空回りしてる所が魅力的。

アイドルの個性でボランティア活動を積極的にしていますとか、物語のイベントとしてはそこまで使わないのにメンバーの中に整形したと描写される女の子が出てくるのはアニメだとなかなか無いよなぁ。

ダンスシーンをアップの場面などなるべく2Dアニメでやりながら、全体の動きなどの少しの場面だけを3DCGにして動かしていて
今だったら全部CGにして好きにカメラ動かせばいいのに、よくそんなめんどくさいことするなって驚きだった。

おじいちゃんたちの声優さんを、原作者の高山一実さん、内村光良さん、元乃木坂46の西野七瀬さんがやってたのね。

『トラペジウム』近いのは『響け!ユーフォニアム』だと思う
それぞれ環境、モチベーション、やりたいことが違うのに、そこを理解できてなく意思疎通のトラブルが起こるのが似てて
後で話し合ったかも重要だけど『トラペジウム』と『響け!ユーフォニアム』の違いはこれをちゃんとやったかどうかだと思う。


原作小説読み終えて、話そのものは大体同じなんだけど
230ページぐらいの本で、ちゃんとアイドル活動するのまでに7割半ぐらいかかるから、長すぎたりセリフで説明しすぎてる所はちゃんとカットして、アイドル活動の必要な場面をかなり補強されていて、良いアニメ化だったと思う。

原作者の高山一実さん千葉県出身で、千葉の観光大使もやったりしてたから千葉が舞台だったのか。
それと好きな小説が湊かなえの『少女』『告白』『贖罪』とかなのねw

不満があるとしたら
主人公がアイドルに憧れたきっかけのエピソードが弱いから、何でそこまで執着するの?というのにあまり繋がらないところかな。

これは予想なんだけど原体験的なエピソードが弱いのは原作者の高山一実さんにとってアイドルが好きというのが当たり前すぎる事だからそこまで強く書かなかったというような気がする。だからこそアイドルが好きすぎる主人公と逆にアイドルに興味ない女の子達という話を作ったのが興味深いな。
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