Monsieurおむすび

RHEINGOLD ラインゴールドのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
4.1
#ラインゴールド
生まれた瞬間から苦難の生、最悪だからこそ語る価値があるラッパー Xatarの流転の遍歴。
目的の純度と手段を選ばないダーティーさはアンバランスだけど、そんな不道徳さが生命力と密に結びつき、行動に次ぐ行動で好転と暗転を往来。飽きもダレもなく140分、駆け抜けるような痛快。

1979年、イスラム革命で自由を奪われる若き両親の記憶から、過ちを精算し、自らの家庭とレーベルを築く現在までに、一体、何ヶ国を渡り歩き、劇中で何ヶ国語が飛び交ったか?
どこで、何をしていても紛れもない悪人な彼を突き動かす「夢」と、人間として真っ当でいさせる「家族」の存在を際立たせる監督の人物を照射する手腕がすごい。
モデル、主演、監督に共通するクルド人の血筋。そのエネルギーの根源たる不屈さも垣間見え、ファティ・アキンが移民を題材に選ぶのも納得できる。

両親から授かった素養と欧州のクラシカルなエッセンス、何より破天荒過ぎる半生。こんな上質な素材と、多様なジャンルの作品を生み続ける多才な監督との出会いが面白いに決まってる。
Monsieurおむすび

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