ShinMakita

RHEINGOLD ラインゴールドのShinMakitaのレビュー・感想・評価

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)
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☆俺基準スコア:2.3
☆Filmarks基準スコア:3.4




1970年代の終わり…イランを追われたクルド人作曲家エクバル・ハジャビは、イラクに逃げるも投獄され、妻と幼い息子ジワと共に刑務所での生活を余儀なくされた。しかし赤十字の尽力でなんとか解放され、パリへと移る。そこで裕福なクルド人たちから「音楽家ならドイツに住むべき」と言われドイツに渡り、ボンのアパートに落ち着いた。そして苦節10年、エクバルはコンサートホールで指揮者として名を馳せるように。時は1990年代、既にジワはティーンとなっていた。

売れた父エクバルが女を作って家を出て行ってから、ジワの不良人生がスタートする。ポルノをダビングしてクラスメイトに売って、ハシシを小さくさばいてカネを得始めたジワは、ケンカの腕を磨いて親友サミーと組み、いっぱしのドラッグディーラーへと成長、「カター」と呼ばれ恐れられるようになった。やがて警察の手が伸びると、幼馴染で実業家のミランを頼りアムステルダムへ逃亡、クルド人ギャング・イェロを紹介され手下となる。だがそんな極道まっしぐらなジワにも夢があった。ボンのクラブで聴いたラップミュージックに魅せられた彼は、ラッパーになりたかったのだ。売人の傍ら音大に通って理論を学ぶジワだったが、ある日イェロから預かったコカインをオシャカにしてしまい、大金を手に入れる必要に迫られる…



「ラインゴールド」


以下、規格外に破天荒なネタバレ。


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ドイツのスター、Xatar(カター)の半生を描いた実話系映画。監督はファティ・アキン。「女は二度決断する」とも「フリッツ・ホンカ」とも違いエンタメ度マシマシな、ある意味コメディです。


いや、面白かったですねぇ。生い立ち・生き様はリリックの血肉となり、相棒サミーは歌が上手く、少年時代のピアノレッスンと父の影響で音楽素養が身についていて、しかもアムステルダムの音大で習った理論はプロデュース力として生きるという、破天荒な人生と出会いが無駄になっていない、まさに裏社会のスラムドッグミリオネア。金強奪で刑務所に行かなかったら売れてないだろうし、こいつ相当な運の持ち主ですよ。オッペンハイマーのような苦悩は一切ない、いま見るべき伝記映画の佳作。オススメ。
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