みきてー

DOORのみきてーのレビュー・感想・評価

DOOR(1988年製作の映画)
3.9
主婦側もストーカー側も、ドアを隔てて被害者/加害者が反転するのが見事。終盤俯瞰ショットで撮られるデザイナーズマンションは、令和では考えられないような奇妙な間取りで、全ての部屋をドアで行き来できるようになっている。ドアそのものの中も外も、全てがめちゃくちゃに壊れていくアクションシーン(と、言っていいのかな)は圧巻の迫力だった。

1988年の住宅事情ってどんな感じだったのだろう。集合住宅に対する不信が物語にはびこっていた気がする。隣に誰がいるか分からない、叫んでも誰も来ない、住んでいるのか閉じ込められているのかわからない。『誰にも言えない』(冬彦さん続編の超名作ドラマ)でもお洒落な集合住宅にその不穏さが漂っていて、同じ匂いを感じた。こちらは93年放送だが果たして。考えすぎだろうか。

スーツ姿でチェンソーをぶん回す堤大二郎は、あきらかにババ・ソーヤーを意識した暴れ方(言うまでもないがシャイニングのジャックも混ざっている)で、次々と流入してくる海外ホラーに負けないような国産ホラーを!というディレカンの気概も感じさせられる。快い。
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