くさむすび

劇場版 おいしい給食 Road to イカメシのくさむすびのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

このシリーズに対する愛情は自分の中でも特別なので、ほぼ満点なのはご了承いただきたい。
途中までは「1作目2作目には及ばないかー」なんて思ってたら、黍名子中学校同窓会のハガキが見えて、驚いているのも束の間(当然比留川先生と甘利田の話なんて頭に入ってこない)、成長した神野ゴウが出てきた時にはもうテンションがぶち上がると同時に涙がこぼれ落ちてきた。『アベンジャーズ エンドゲーム』以来の興奮した映画のサプライズで、「これがシリーズをリアルタイムで追うことか」と感慨もひとしおだった。
1と2は若干似通った話になっていたが、今作はドラマ版で話題に上がっていた劇『ホワイトマン』の完成と、甘利田が待ちに待っていたメニューであるイカメシというゴールが明確にあったので見やすくなっている。でも自分は中盤からの展開は、これまでのシリーズほど乗れなかった。それはドラマ版で出てきた、比留川の父(モーリー・ロバートソンが演じていた役)がメインとなる話で描かれていたことと似ており、正直「またか」と思ってしまった。粒来が先陣を切ってみんなで食べることを提案するシーンも良かったけど、ドラマの方の「色々なアレンジをここまでしてきたけど、あえてそのままラーメンをシンプルに啜る行為」の感動には及ばなかった。
それでも以前チャレンジングな姿勢は貫かれているのは良かった。1作目は『半沢直樹』、2作目はスリラー映画、そして今作は『ハングオーバー』のような展開があり、北海道繋がりで『北の国から』のオマージュもあり、映画版でしかできない攻め方をしている点は本当に好感が持てる。『ホワイトマン』練習中に流れる曲が常節中学校の校歌といったファン向けの目配せも事欠かさない。地味に常節中学校、黍名子中学校、忍川中学校、全ての校歌が流れていた。
グループで食べてはいけなくなり、生徒が一人で食べさせられる様子は我々観客もコロナ禍に"孤食"を経験したので気持ちが十二分に理解できる。だからこそ何気ない今を大事にという今作のメッセージがよく伝わる。今作もよくできていて面白い映画ではあるんだけど、2作目の『おいしい給食 卒業』がやっぱり別格すぎる(それでも☆4.8付けてるんですが…)。
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