一丁目

ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉の一丁目のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

2001年の東京優駿、ジャパンカップを制したジャングルポケット主人公の「ウマ娘 ROAD TO THE TOP」に続く続編。

彼女たちは、走るために生まれてきた。
ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と
共に生まれ、その魂を受け継いで走る───。
それが、彼女たちの運命。

テレビでもあったこの説明が、シネマトグラフで撮られたようなウマ娘の走る影の姿から始まり、この演出が現実感があってアグネスタキオンのウマ娘への探求心と、走ることへの哲学への厚みを出していて良かったです。

また全編キャラの描き方が丁寧でキャラが好きになれました。
アグネスタキオンの初登場シーンからの得体のしれない出会い。好奇心旺盛で相手をすっごく見ているようでもっとずっと遠くを見ているような独特な世界観。目つき、常に調べ物をしていて、部屋も実験道具で溢れている。移動するときは椅子ごとシャ―っと移動してきたり。
そばに居るマンハッタンカフェが映るときも背景には額縁。背景などはゲーム内の設定ではありますがより意図的に映されていてキャラ映えが凄かったです。
また、テイエムオペラオーのスクリーン越しの登場シーンもかっこいい。ドン!!って感じ。山本監督が描くとなんでこんなにかっこいいんだろう……。

レース自体の迫力もPV見たときから凄いだろうなとは思ってたのですが、主観的で没入感の高い映像で、色が芝生の緑と肌の赤に近い肌色と空の青さで凄く鮮やかに映えます。
音がまたよくて走っている最中風の音がびゅうびゅう鳴っていて、こっちが一緒に走っている気分にもさせてくれる。風が強く吹いているでもあった気がしますね。
キャラの頭にカメラが付いたようなカットも面白かったし、3Dを使った地面をなぞるようなカット。アグネスタキオン主観のウマ娘の走ることへの探求の光景。ダンツフレームとの少年漫画的なアガれる分割画面。ジャングルポケット目線の最後の宿敵であるアグネスタキオンの生霊のような壁をぶち破るイメージ空間の演出。どの描写も工夫が凝らされていて楽しめました。

脚本自体はシンプルだったなと振り返って思うのですが、その各キャラの抱えたテーマに対する哲学の掘り下げが丁寧で投げっぱにせず、描ききっていて主観的な映像だけだったら子供向けアニメで終わってしまうところを、ちゃんと奥深く描いてあるのが凄いなと思いました。
素敵な映像体験をありがとうございました。
一丁目

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