このレビューはネタバレを含みます
実際の競馬含め完全初見。なのでまずウマ娘とは何ぞや…というところからなのだけれど、冒頭のゆきよさんナレーション(いかにも映画をやりますみたいなマイブリッジを連想させる連続写真はげんなりさせられるけれど)だけでなくて話の筋全体が一応それは何であるかを追う感じなのは助かった。ただまあ結局、これはフィクションのスポーツ映画が避けがたく背負う宿命として作り物でしかないので、結果がどうなろうとあるいはレースの推移がどうあろうと本質的にかなりどうでもいい、ということになってしまう(だって実際の競技におけるパフォーマンスのぶつかり合いにかなうわけないじゃん)。それでもスポーツ映画は、競技中には置けない位置にカメラを据えたりすることでなんとか観ごたえのあるものを作り出そうとしてきて、例えば『フォード vs フェラーリ』終盤に描かれる66年ル・マンのレースシーンで繰り出されるカッティングなんかは悪くないじゃんと思わせてくれるのだけれど、そういうものがこの作品にあったかというと…。そもそも、画面上で起きていることが普通の陸上競技とどう違うのかが、初見の身にはまるで分らなかった。なので運動の躍動みたいなのも特に感じず、というか専らエフェクトによって描画されるのでサイゲは金あるなぁとしか感想が出てこない。
というかアグネスタキオンが引退表明する記者会見の辺りでもう不自然なまでに画面が赤くなってて、前日に観た『関心領域』の花のアップから完全に赤一色の画面になるカットとダブって笑ってしまった。なんでそこが繋がるんだ。あとフジキセキの勝負服あれデザイン奇抜過ぎでは???