似太郎

スーパーの女の似太郎のレビュー・感想・評価

スーパーの女(1996年製作の映画)
4.3
伊丹十三は『お葬式』や『タンポポ』とか正直、バブル期を生きた日本人の感性には響くと思うんだが、その時代を生きていない80年代後半生まれの自分にはあまり共鳴できない箇所もある。

現在で言うところの周防正行や矢口史靖、三谷幸喜のドタバタした娯楽映画のルーツでもある。

伊丹さんは俳優として『ドレミファ娘の血は騒ぐ』(黒沢清)や『家族ゲーム』(森田芳光)や『日本春歌考』(大島渚)などのインパクトの方があり、映画監督としては個人的には「う〜〜ん?」なのである。(別に大衆寄りだから悪いという意味ではなく)

主演の宮本信子が地方のスーパー再建のために奔走する和製スクリューボール・コメディ。若き日の柳沢慎吾や伊集院光、小堺一機に柴田理恵などお茶の間で人気のあったTVタレント(懐かしい)が総出演している。

イビツな社会構造をあくまでエンタメという切り口で捻出する伊丹マジック❗️後半に於けるカーチェイスのシーンもなかなかの迫力。たしかに演出はベタだけど、役者のハイテンションな馬鹿騒ぎが観ていて痛快。風変わりな社会派コメディとして良く出来ている。

いまが大変不景気な世の中だから、こういう人間臭くて暖かみのある人情モノに飢えてるのだろうか?。内容に深みがあり、元気のもらえる健康的なコメディだと思った。なんで自殺したのか。

バタ臭いハリウッド映画のような作風がそれまでの陰気なATG映画っぽい邦画の流れに終止符(ピリオド)を打った意味で革新的だった伊丹十三。。。😔
似太郎

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