スーパーの女の作品情報・感想・評価

「スーパーの女」に投稿された感想・評価

玄人主婦の宮本信子が景気の悪いスーパーを経営する津川雅彦に雇われて、その鋭い観察眼をもって客入りの悪いスーパー「正直屋」の売り上げを立て直そうと奮闘する経営マネジメントコメディ。
幼馴染のしょぼくれた専務、覇気のない店員、気分良く働けないパートさん、プライドの高い職人たち、いかにも感じの悪いライバル店など、次々とこのスーパーの問題が浮かび上がってきて、それに対して的確な改善策を提案するのだが、閉じた世界にいる人というものは今までのやり方を変えようとしたくないもので、既存の非合理的な慣習に従って働いてきた従業員たちから信頼を得られず、なかなか成果を上げられない。しかし、周囲に揉まれながらも、めげずに提案し続けた抜本的な働きかた改革は、その熱意に動かされた人々の協力を得て、徐々に実を結び始めるのである。
本作は、勢いのある全国チェーンの大店舗に、知恵とガッツを武器にローカル店が立ち向かう!というであり、資本主義にかこつけた搾取構造へのカウンターとなっていて、儲けをフトコロにため込むのではなく、消費者とよりよい関係を築いて社会に還元していれば、長い目で見て生き残れるんだという考え方だ。それは消費社会における食品店の理想的なあるべき姿だともいえる。日本で古くから問題視され、時に美徳とさえされていた「嘘も方便」とする商人根性は邪悪で間違っていると、社会に対する問題提起として十分社会性のあるドラマとなっていた。
劇中、宮本信子の言うことはどれも的を射ている。そこで働いている人間が、その職場で売っているものを買うかどうかという視点は、とても興味深い。
食品の偽装表示や商品のリパックなどは、映画公開後に大手食品メーカーの不正が明るみに出るなど現実として問題になっているが、現在もそのような事件がたまに報道されることは、非常に残念に思う。映画とは逆で、社員教育の行き届いた大手ではそんなことはなく、経営状況の厳しい個人経営の店が密かにやっているというから救えない。
ならば、食品を軽々しく捨ててもいいのか?という問題もあるわけで、私は賞味期限気にしすぎる風潮には批判的。日本という国は、食品の大部分を輸入に頼っているくせに、世界一食品を捨てている国だそうですよ。食品廃棄率はアメリカよりも上。「もったいない」が聞いてあきれる。
この映画が製作公開された1996年は、まだ食品スーパーは庶民が買い物をする場所として生活の中で存在感を示していたが、同時に映画が競合他社の範疇から除外していたビッグストアやコンビニエンスストアなどの小売業が台頭し始めた時代でもあり、このあたりから徐々にスーパーは食品流通の主役ではなくなっていく。中小の食品スーパーのリアルを徹底的に再現し、その裏の裏側まで見せるこの映画は、我々が映画で昭和の街灯をみる感覚のように、舞台設定そのものが懐かしい映像となってゆくのでしょう。

ところで、私は古書の映画パンフレットを集めるのが趣味でして、特に伊丹映画はパンフの情報密度が高くて好き。本作のパンフレットの中身は宮本信子や津川雅彦ら常連俳優のインタビューが主な内容だ。(『ミンボーの女』のように、警察への取材記録と監督が語る創作秘話、登場人物の関係性の整理と、題材にした社会問題の定義に多くを占められている場合もあるが、『マルタイの女』『大病人』は、ほぼこれと同じ構成。)
読んでみると、「監督の期待にこたえられるように…」とか「監督の映画にとって必要な存在でありたい」とか「今回も難しかったなあで終わった」とか「料理されている牛の気分だった」とか「どう捌かれるのか楽しみだ」などと、監督への畏敬を込めながら撮影時の具体的なエピソードも交えつつ各々が役を演じることへの意気込みを語っている。ところが、そこで出演した百戦錬磨の名優たちの全員が例外なく、長い撮影を終えた達成感や映画の意図をうまく汲めなかった弱音というオブラートに包みながらやんわりと「ジジイ凝りすぎなんだよ!」とサーティーンへの愚痴を漏らしているのが面白い!鮮魚コーナーの見習いを演じた伊集院光は、アウトテイクの数だけ鯖を捌くシーンを演じ、手から生臭いにおいが取れなくなったそうだ。
しんじ

しんじの感想・評価

4.0
題材が身近なので、マルサの女より話にのめり込めた。
肉泥棒を追いかけるシーンは宮本信子の目線でカメラが追うので臨場感もあった。

伊集院光若かったねw
小林

小林の感想・評価

3.7
前2作の失敗を巻き返すために、『タンポポ』路線に回帰した感じですね
『タンポポ』は「究極の一杯を作ろう」という職人志向の内容だったのに対して、今作は「よりお客さんを集めよう」という、ビジネス視点にシフトしていて、実際、宮本信子からビジネス書的な話が飛び出すのがおもしろかった
『鼓動の目』

いつもお世話になっているhさんのオススメで鑑賞。
宮本信子さんのヌケのよい演技、キャラクターが素敵。
勇気がわく。
ポイントポイントで宮本信子さんの演説がはじまる。
自分の想いを力強く伝える。
そのときの目が訴えかけてくる。
「こんなもんじゃないでしょ!!?もっとできるでしょ!!!」と。
目頭が熱くなるよ。
宮本信子さん。
もっといろんな作品にでてーー。
そして訴えてきてーー!!!
伊丹十三監督作品は本当に面白いし、非常にミニマルなプロットを仰々しいとさえ言える演出(音楽含む)で魅せるのが凄いですよね。

今作もそんな中でも、スーパーですよ!でも知らない事を知る、トリビアルな楽しみに満ちたうえで、任侠と言いますか、何かしらの人の道を賭けた闘いが起こり、大団円といういつものパターンとは言え、アガります!

津川雅彦か、あき竹城とか、脇も完璧。

ある種の日本映画のエンターテイメントのモデルのような映画だと思います。
EBI

EBIの感想・評価

5.0
偽装肉とか取り沙汰されるだいぶ前だからすごい♪面白すぎて音符🎶
最初から最後まで面白い!
テンポ良いから全く見飽きない。
こんなスーパーあったら働きたい。
たらこのおにぎり食べたい。
食品偽装とか賞味期限切れをまた使うとか当時のニュースになったようなことが当たり前にされてた。
最後のトラックカーチェイスすごい。
あんな細い道を。
改めて私はスーパー好きだなと思った。
正直屋はデパートの初売り。
1,000
ナノ

ナノの感想・評価

4.0
弱小スーパーを目利きの主婦が立て直す!痛快スーパーコメディ。

宮本信子演じる主婦井上花子はひょんなことから今にも潰れかけている弱小スーパー「正直屋」の専務、小林五郎=津川雅彦に小学校以来、数十年ぶりの再会を果たす。そのうち、花子の主婦ならではのスーパーの洞察力と知恵に舌を巻いた五郎は、花子をレジ打ちとして、雇うことに。みるみるうちに花子のレジ改革、お客の対応改革、商品の流通経路の洗い出しと安物との混ぜ合わせ阻止改革で、スーパーに潤いを与える。しかし、そんな花子のことをよく思わぬ店長や生鮮品の職人連中がいて…。

とにかく面白い!花子の改革により、徐々に経営が軌道に乗り始めるスーパーの様子を見ているだけでも面白いが、その中で、上司や社員、職人達との軋轢に火花がバチバチなる感じなのがまた面白い。伊丹十三の映画を全て観ているわけではないが、同監督作「タンポポ」でも見せたように、ノウハウがままならず、閑古鳥が鳴いていたような商売を知恵と工夫で繁盛店に変えていく、というようなサクセスストーリーが得意な監督なのだと感じる。同監督にはもっとたくさんの映画を撮って欲しかったと強く感じる。きっと徹底した取材力で楽しいエンタメ作品をたくさん撮ったことだろう。
yusuke0516

yusuke0516の感想・評価

3.9
だいぶ早い時に価格競争の社会問題とか風刺してるし何より古いのに新しい
DJLF

DJLFの感想・評価

5.0
丹波哲郎さんは、自著で伊丹氏を映画監督として超一流と評価していましたが、まさにその通りだと思います。
この作品を初めて観た時、そう思いました。
社会問題にコメディを組み合わせたこんな作品はもう二度と表れないと思います。
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