ラブコメ映画界の「サンジャポ」
見上愛はあまりまとまりのないキャラクターの、難しい役どころをよくまとめていた。最初はあまりピンときていなかったが、最後の方はその可愛いらしさに気づき、かなり惹きつけられた。
序盤こそベタベタなラブコメ感の王道を行く感じがあり、ウエストランド言うところの「アクション映画にあって恋愛映画にない」展開のバリエーションの少なさを感じていたが、後半からそれらの演出意図を読めるようになり、同時に純粋な「好き」の力強さを教えてくれる。説明なく偶然が重なるラブコメディの難点を批評するかのようなテーマ性はまるで、あえて王道ワイドショーをやることでワイドショーへの批評をしている「サンデージャポン」的なことを恋愛映画の世界でやっているような感覚を受ける作品だった。
大学生甲野くんの設定には無理があり、消える記憶の深刻度があまりはっきり伝わってこないため、その線引きを観ているこちら側が考える手間があり、ノイズになっている。でも、改めて見上愛は可愛い。