『オーメン』ブームの頃は産まれておらず、シリーズも熱心に追いかけていたわけではないのですが、オープニングから「これは!」と姿勢を正して鑑賞しました。この映画、演出がキマりまくっています。
流れをぶった斬って一気に緊張に引きずり込む感覚が鋭くて、いわゆるジャンプスケアも単純にタイミングや音の大きさで驚かせるのではなく、「予想外の音」で意表を突いてきたのも見事でした。
保身のために恐ろしい計画を実行する教会の闇を描き、権力の暴力性を訴えるメッセージ性の強い内容とエンターテインメントとのバランスにも感心しました。
地位や名誉や自身の快楽のためなら他人の不幸も厭わない気色の悪い「怪物」たち。奴らの口に出すこともはばかられる凶行を目の当たりにして、頭によぎるのはもちろんローマ・カトリック教会の性的虐待です。
女性監督ならではの視点から描かれる世にもおぞましいシーンに覚悟を感じました。しかしながら、日本ではほとんど何も見えないほどのモザイク処理が施されており、失礼極まりないことだと思いました。
あらゆる面でオリジナリティーにあふれる作品で、露骨なオマージュをしていないところも好感が持てるのですが、だからこそ「あのテーマ曲」がかかる瞬間は鳥肌が立ちました。