日下勉

津島 ー福島は語る・第二章ーの日下勉のレビュー・感想・評価

5.0
これは圧巻の3時間。
あの原発事故により失われた故郷、浪江町津島、この津島に暮らしていた人たちの言葉と挟まれる美しい景色の映像によって、何が失われてしまったのか、この重さをひしひしと感じることが体験できる。
フォーラム福島で観たのだが、津島の光景が写し出されるたびに、津島に関わる方だろうか、劇場で時おり嘆息やひそひそ声が聞こえてきて、やはりこの作品を福島で観れたことが良かったと思えた。

それにしても、環境省の役人が、土地の除染をしたとして何人の住民が戻るのかを問うたという話を聞いて、やはり怒りを禁じ得ない。現状回復にかかる費用に比してここに住む住民の人数との経済効率を推し量る論理。これは先日の能登半島の地震の時に復興より移住をと言った切り捨ての論理と同じ。日本という国がいざというときに、国民を棄てる国だと言うことがよくわかる。
情けない。
日下勉

日下勉