どど丼

世界の人々:ふたりのおばあちゃんのどど丼のレビュー・感想・評価

4.0
今年のオスカー短編ドキュメンタリー映画賞ノミネート作品。台湾系アメリカ人監督の父方&母方のおばあちゃん二人が、アメリカで仲良く暮らす様子を切り取った映像。一見するとフィルムで撮ったお洒落なホームビデオで、それ以上の説明も作中では特に示されないので、前情報なしに映画として観るとハテナ状態になるかも。

ただ、製作時期がコロナ禍以降、アメリカ国内でアジア系の人々へのヘイトクライムが相次いだ背景の中で撮った事を踏まえると一気に見え方が変わる。コロナで負のイメージに晒され、暴力を受けるアジア人がニュースで映し出される中で、あえてアジア系の人達の何の変哲もない平和な光景を撮るというのは、大きな社会的メッセージをはらんで来るんですよね。

あとは昨年のオスカー作品賞を「エブエブ」が受賞したように、アジア系の人々や作品に注目が集まった事も、オスカーノミネートの一因になっているはず。今年のオスカー授賞式は悪い意味で話題になってしまった場面もあった分、より本作で"ふたりのおばあちゃん"が浮かべる笑顔が愛おしくなるし、アジア人の一員として、このような素敵な作品を支持していきたいなと思う。
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