たらお

ザ・ウォッチャーズのたらおのレビュー・感想・評価

ザ・ウォッチャーズ(2024年製作の映画)
3.5
とある森に迷い込んだ主人公が「鳥籠」の中で共同生活を送るお話。
アイルランドに伝わる妖精伝説を知っているとより楽しめる一作だと思います。
ペットショップ勤めの主人公がお届け物をする道中で森に誘われ彷徨い、そこで同じく迷い込んだ仲間達と小屋「鳥籠」で生活することになるわけですが……
如何にもな謎と秘密が視聴者をも惑わせます。
幻覚を見せる森、小屋の存在、森に潜む妖精、穴の存在、仲間達の過去・秘密など……
話が進むにつれ更に隠されていた秘密も暴かれていきます。

終盤ではまさかの展開を見せるので雰囲気だけを楽しむだけでなく、退屈させない作りとなっていたのでこれは好印象。
(森に入る条件・方法がややふわっとしていた気がしますがそこは目をつぶります)
後半からの展開が個人的に好みなので中盤辺りからこの展開でやってほしかった気持ちもあります。
「姿を変える」「惑わす」って設定が活かされていたので。

冒頭からちょくちょく姿を見せる鳥の大群やダーウィン(ペットショップの鳥)が後半に大きな役割を担うのはよい伏線。
正直ダーウィンがここまで活躍してくれるとは想いませんでした。
たまに喋るただの癒やし枠だとばかり…………
ダーウィンといい鳥籠(小屋含め)に囚われている様もミナが過去に自身の犯した罪が枷になっていることを表現していたのかもしれませんね。
話の冒頭で「あなたの物語は?」「何から逃げているの?」と問いかけるシーンが印象的でしたので。
だからこそクライマックスで枷から外れてちゃんと自身と向き合えた姿に安堵しました。
誰の心の中にも魔物は潜んでいますし、どんなに後悔しても消せない過去がありますが、それでもどこかで自分と向き合って生きていかないとダメなんだな。ということを思わせてくれた一作でした。
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