たらお

ノア 約束の舟のたらおのレビュー・感想・評価

ノア 約束の舟(2014年製作の映画)
3.0
大洪水から家族を護りながらも神とは、救済とは何かを考えるお話。
すべては無から始まった――
という導入から引き込まれました。世界観や物語は個人的に好きです。
エデンについての話を最初にやってくれるのでお話にすんなり入れます。創世記を知らずとも聖書モチーフのファンタジーとして楽しめばよいかと。
大洪水に備えて舟を造るってベースはそのままに人間同士の争いと神の存在と生きることについてキャラ同士の思想がぶつかる内容なので。

神を信仰する主人公「ノア」(この名前、別に深い意味なかったです)と家族が神の御心のままに使命を果たそうとしていますが、神に見放されつつある世界で生きていく姿は逞しいですね。
お花や自然を慈しむ心って無くしちゃいけないと私も思います。
家族が旅をする中で神の啓示を知り、箱舟を作る流れも上手くファンタジーと絡めているのですんなり受け入れられました。
ただ、箱舟を作る過程で蛇やらが大群で押し寄せてくるシーンでちょっと鳥肌立ちました。
「地を滑り、這いずって動くものみな同じ」
って台詞は確かにそうなんですが……

全体的に理屈じゃなく、感覚で理解しろって作風な気がしますがひいおじいさまについては明らかに説明足りていない気がします。あれは神に選ばれし者ってことで納得すればいいんです??
魔法みたいなの使ってましたけど、あれが「神の御業」もしくは「ご加護」ってこと??
ファンタジー要素は好きですけど、その辺りもうちょっと説明というか納得のいく描写ほしかったです。

最終的に「神の祝福」ってなんだろうな? と思いました。
信仰は自由ですが、ノアさん結局自分の都合のいいように解釈してるし、なんなら事実ねじ曲げている気がするので。
そりゃ息子であるハムが反発するのも当然です。
ハムに対しては苛立ちを覚える人もいるでしょうが、ラストの彼の姿を見ると彼なりの決断、意思がちゃんとあったのがわかるので私は登場人物では彼が一番好きです。
多くの人にとっての楽園があったとしても、それを楽園とは思わない人もやっぱいて。
居場所は与えられるものじゃなく、自ら作るものだと考える者がいるのは自然な流れだよな……と感じました。
「優しい心を持とう」という短いながらも想いのこもった台詞がとても好きです。
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