櫻イミト

Zの櫻イミトのレビュー・感想・評価

Z(1969年製作の映画)
4.0
森達也さんが本作のタイトルを挙げていて興味を持って鑑賞。1963年にギリシャで起きた、軍事政権による革新派議員の暗殺事件を元に映画化。ギリシャ人亡命者のコスタ・カヴラス監督作品。

硬い政治ドラマと想像していたら全くそんなことはなく、硬軟取り合わせたサスペンスタッチで最後までとても面白かった。移動カメラの多用と矢継ぎ早の編集でリアリティーもあった。たくさんの勲章を下げた軍上層部たちが次々と告訴されていく様、そして衝撃的なラストは否が応でも反体制の血を燃えさせる。1969年当時のクリエイターの熱が伝わってくるようだった。

「新聞記者」シリーズは本作の影響を受けているが、ちょっと比べ物にならないぐらい本作は優れていた。

※暗殺された議員と妻の回想で不倫を匂わせるような描写があり(その後の妻の不審な態度も含めて)どういうことだったのか回収されていなかったと思う。映画パンフを発注したので後述する。

※1969年のカンヌは本作が審査員賞、グランプリが「if もしも…」、初監督作品賞が「イージー・ライダー」
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