寄り道わき道

ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ワーニャ」の寄り道わき道のレビュー・感想・評価

4.8
アンドリュー・スコットの超絶技法の一人芝居に惹き込まれ、あっという間の2時間だった。まるでそこにそのキャラクターがいるかのように、8役それぞれ瞬時に演じ分けていて、まるで憑依してるかのようなアンスコの熱量に衝撃と感動。しかもキャラクターたちの相反する感情を次々と成り変わり演じていくのも圧巻だった。本当ガラスの仮面の北島マヤみたい(笑)。びっくりしたのは女性役のお芝居で、本当に女性にしか見えないほど繊細に仕草や表情がリアルに演じられていて息を呑んだ。とにかくリアルだった。あと一人芝居で絡み、特にキスシーンだなんて、難しそうに思えるのに見事に表現していてさすがだと思った。腕や手をうまく使って2人がいるかのように演じてるのも凄かった。
チェーホフって聞いて難しく感じていたけれど、そんな構えなくても大丈夫だったし、一応簡単なあらすじを読んでいけばついていける舞台だと思う。全く知らないままだとしんどいかも。

特にラストが本当に沁みて、苦悩ばかり、辛い人生、普通に考えたらやるせないなと鬱々思うかもしれないが、舞台を見終わって、なんだか私自身救われたような気がした。苦しいのは自分1人じゃないし、いつか報われるからって思い続けて生きていくのも悪くないってさ。

ps.アンスコの両手で顔覆う所作が可愛すぎて死