地震国日本に暮らす漠然とした不安と恐怖。
本作の海は時に優しく時に残酷に描かれる。
死ぬと21g軽くなる。
その21gは死の瞬間消滅するのだろうか?
ここに描かれるのは死後の世界……妙に説得力のある世界観。
新月の夜、現世への未練となる生者を捜す行列(パレード)。
とても哀しい。
やはり幼い我が子を捜す母親の姿が、ことのほか痛ましい。
死後の世界など無いと言っていた友人は6年前に亡くなった。
彼の死に気づかなかった1年もの間、自宅や車内で何度も水滴が手に落ちた。
水など落ちるはずもないのに。
ふとそんな事を思い出した。
水が土に染み込むように、やがては消えて無くなる魂。
自分にとって未練を無くし成仏するって簡単なのか難しいのかすら分からない。
綺麗な映画だった。