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パレードのゲルのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.7
藤井道人監督の舞台挨拶付き特別上映会にて鑑賞。
化女沼レジャーランドを知っている人はぜひ観てほしい。

良くも悪くも、野田洋次郎氏の音楽の世界観に支配された作品。
ストーリーの根底がファンタジーなので、幻想的な音楽と相性は良い。
ただ、評価は分かれそう。
個人的には、大人が主人公で現実世界が舞台のファンタジーにはかなり抵抗があるので、どうしても世界観に浸りきることができなかった。
表面上は、生きている人に優しい物語。
もう会えないあの人がこんな風に楽しく過ごしてくれていたら、と思えば救われる部分もあるはず。
現実は残酷で、当たり前だが亡くなった人とは何の交流もできない。
どんなに辛くても受け止めて、日々を過ごしていくしかないのだ。
それが、生きるということ。
観る人によっては、現実を突き付けられて酷に感じる場合もあるのではないだろうか。

基本的には、藤井監督の優しさが織り込まれた作品だと思う。
自分には子供がおらず、特別温かい家庭環境でもなかったので、いつまでも子供のことが気になる親心にはあまり共感することができなかったけれど、温かい家族に恵まれた人は涙するのでは?
自分にも親はいるので、親より先に亡くなった登場人物の話は切なかった。
また、主人公である美奈子の話よりも、マイケルさんの話の方がだいぶ見応えがあった。
作品中で映画を作っているので、映画好きとしては嬉しいエピソードだった。
いっそマイケルさんが主人公で良い。
最も良かったのは横浜流星演じるヤクザの話。
ただ、清楚な女性はそもそもヤクザと付き合わないと思う。
いちばん闇の深そうな登場人物のエピソードがなかったのは残念だった。

2024年に観たカラオケシーンのある映画4本目。
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