Arata

パレードのArataのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.8
レビューの順番が前後するが、3月11日に鑑賞。
どんな作品かのかも知らないままに観てみると、3月11日が関係する映画だった事に驚いた。


【あらすじ】
割愛。


【感想など】

・森七菜さんがなな、田中哲司さんがたなかさんと言う役名や、マザーで親子役だった長澤まさみさんと奥平大兼くんが再び親子役で登場したりと言った、現実世界や映像世界と今作との地続き感が面白い表現だなと感じた。

・リリーフランキーさんが劇中に制作する「失われた時を求めて」のテーマやプロットが、名作「カサブランカ」と酷似しているなあと思っていたら、木野花さん演じる恋のお相手だった方がプライベートシアターでその「カサブランカ」を鑑賞していた。
去る者、残された者、それぞれの想いと、自分たちの力だけでは抗えない大流に飲み込まれた者たちの、痛みや未練と言った様々な心情などが、スピリチュアルな世界では無くあくまでもファンタジーとして表現しており、あらゆる人に分かりやすいのだろうと感じた。
もはや、「カサブランカ」の現代日本的シチュエーションに落とし込められた、ファンタジーアレンジと言っても過言では無いと感じた。


【お酒】
寺島しのぶさん演じるスナックのママのお店で出されるお酒や、朝のコーヒーなど。


横浜流星くんが、「キツイのちょうだい」と言って出されたのが、焼酎のロックの様で、果たしてそれはキツイのだろうかと疑問に思った。
こう言う時はもっと度数の高い蒸溜酒をストレートでなのでは?とも思ったが、ママの優しさなのかも知れないと感じた。


【総括】
映画と現実、映画の中の現実の世界と彼らの世界、そして映画の中の映画、何層にも複雑に絡まる並行世界を自由に行き来し、そしてそれがまるで複雑とは感じさせない丁寧な作りで、非常に観やすい。


カサブランカが、不器用で無骨な男の未練を隠す「ハードボイルド的な美学」だとすれば、今作は良く気が利く男が、未練をさらけ出し、仲間たちによって消化していく「等身大の美学」を感じる。
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