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正義の行方の235のレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
4.3
2024年39本目
1992年に福岡県で起きた「飯塚事件」の関係者を取材したドキュメンタリー作品。
2006年に死刑が確定し、2008年にすでに死刑執行されているが、久間の冤罪を訴える再審請求が続いている。
どちらかと言うと冤罪よりの視点・構成にはなっているものの、比較的フラットな内容。西日本新聞の記者の方が言っていた、久間が黒か白かは分からないが、疑わしきは罰せずという法の原則から言うと、久間が死刑に処されるほどの明確な証拠はなかった、と言うのが全てだと思う。
死刑確定から2年で執行というのも、通常7〜8年という期間や状況証拠のみで絶対的な根拠がない中での死刑執行というのは、何か裏があるのではないかと勘繰ってしまうのも事実。
本作は警察官、弁護士、新聞記者などがそれぞれの立場から語っているが、被害者遺族の視点が抜けているというのは、頭に入れておきたい。被害者遺族としては、怒りや憎しみの対象である犯人が冤罪かもしれないと言うのは、感情が宙に浮いてしまうような絶望を感じるだろう。さらにはもしかしたら真犯人が他にいて野放しになっているかもしれないという恐怖心もかなりのものだろう。
警察は絶対に我々は正しかったと言い切っていたし、そうでないと困る。だが、久間を逮捕した後、同じような事件は起きてないと、それが久間が真犯人だった証拠のように言っていたのには呆れてしまった。
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