モッチー

かくしごとのモッチーのレビュー・感想・評価

かくしごと(2024年製作の映画)
3.7
親子と偽って少年と暮らす女性の姿を描いた作品。


認知症の父の介護で久しぶりに実家に帰ることに。
友達にも久しぶりに会った夜の帰り道に、道に倒れている少年を発見。
なんで、夜のこんな所に子供が、、、
普通なら警察や救急車に連絡しますよね。
ですが、連絡しなかったのにもある訳があり、、、

ひとまず家に連れてくると、少年には虐待の痕が。
しかも、自分の名前も分からず記憶もない状態。

同じ頃、少年に関するある出来事が起きていた。
そんな少年を実の親元に返すわけにはいかないと、千紗子は自分が母親だと嘘をつき、認知症の父と共に3人で暮らすことに。
そして、この嘘から始まった生活が思いもよらない出来事により終わりをつげる。
はたして、その嘘は、愛か罪か。


物語が進むにつれ、徐々に明らかになっていく登場人物それぞれの「かくしごと」。

千紗子は自分の子供との過去もあり、少年に対して嘘をつき家族になろうとしたのかなとも思ったのですが、現実的にその気持ちだけじゃ絶対に嘘だと周りにバレてしまうなとも感じました。

なので、ストーリー的にはまあ、そういう展開になっていきますよねといえるのですが、ラストの終わり方やセリフには胸を打たれるような何か涙が出るようなグッとくる感覚になりました。
やはり、ここが肝でもあり見どころでもあります!

そこからのエンドロールは羊文学の主題歌も良くて余韻もあり、いろいろ考えてしまいました。
嘘から生まれた偽の家族だとしても少年にとっては救いになったのではないか?
自分だったらどうしていたか?

本当の家族のように少年と接していた千紗子の姿が描かれる一方で、
絶縁していた父が亡き母に語りかけるシーンからの父と娘のやりとりは本当の家族の絆みたいな物を見れた気がしました。


キャストの中でも特に奥田瑛二さんの認知症の役が素晴らしかった。
だいぶ認知症が進んだ感じの役なのですが、その表現の仕方や言動がリアルなんですよね。
これも必見です!

また、少年を守らないといけないという強い精神でいた杏さんの感情が溢れるような表情は印象的です。


ジャンルがミステリーとありますが、人間ドラマの部分の方が多い印象でした。
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