まぬままおま

僕の恋とVHSテープのまぬままおまのネタバレレビュー・内容・結末

僕の恋とVHSテープ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ブリリア短編。

冒頭30秒ぐらいは変なテンポ感で逆に面白いと思ったが、ジェンダー構造の不平等さと性差別が滲み出てて無理だった。80年代という時代設定だったらいいんですかね。コメディーの構造で無意識にやっているのがかなりきつい。

男性は妹の部屋に無断で入ることが許され、女性は外で頭全体を覆うスカーフを身につけないといけない。スカーフによって性的さが覆い隠され、所有化が行われているのだが、スカーフを剥げるのは妻/母になった女性か、美しい女性のみ。ルッキズムも作動しているからさらにきつい。

それを穿つのが、VHSテープに表象される映画なのだろうけど、どうなんですかね…こちらは「男らしさ」を獲得できない主人公が、ゲイのスターを模倣することで、クィアな身体を獲得して「主体性」を発揮することが流れになっている。しかしホモ・ソーシャルを解体するわけではないし、クィアな身体になることを彼が求めていないのは、思いを寄せる彼女と異性愛が成立したかにみえる結末で明らかである。性的マイノリティーも消費する物語構造は全然笑えない。

コメディーで笑いに変えるべきなのは、本作が前提としている構造のはずだ。その構造のおかしさを笑いに変えることほど切実なものはない。