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理由なき反抗のFMLのレビュー・感想・評価

理由なき反抗(1955年製作の映画)
4.0
50年代のアメリカの若者の不安や焦りをドラマチックに、ときにロマンチックに描きだした青春映画の名作

理由なき反抗っていうけど、理由はある。
ただわからないだけ
自分が間違ったことをしてることはわかってる
けど何が正しいかはわからないから間違ったほうを進むしかない
誰かがハンドルを握ってくれることを望んでる
誰かが隣に座って正しい方向へ導いてくれることを願ってる

チキン(臆病者)って呼ばれることなんて悔しくもなんともないのに、チキンって呼ばれることを悔しいと思ってない自分自身に対しては悔しさを感じてそんな自分が嫌になるその自分自身も嫌、っていうどうしようもない悪循環の中でもがき続けてる
そして、同じく間違った道を進み続けて大人になってしまった親や先生に対する、もしくはそれが正しかったとしても認めたくないことにさらにイラつきが募る

登場人物全員の気持ちが、全くこれっぽっちもわからない
けど全員の気持ちが痛いほどよくわかる
そんなアンビバレントに
そして、プレイトウの"生まれてきたことが間違いだった感"
"生きてても絶対に幸せになれない感"に
胸を締めつけられる約100分の物語である

この映画がジェームズディーンを伝説にしたのか
またはジェームズディーンがこの映画を伝説にしたのか
それはもはやわかりようがない

ただ、この映画がさらす独特のリアリティ、空気、閉塞感と窮屈さ
白黒なのにジェームズディーンが画面に映っている瞬間のみ、まるで黄金のように光を帯びる
その事実に全ての答えが隠されているのではないか
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