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NN4444のレクのレビュー・感想・評価

NN4444(2024年製作の映画)
3.7
4人の監督による4つの不条理ホラーショートフィルム。

『犬』
中川奈月監督の24分短編映画。
視線で追うばかりで言葉にできない、将また言葉ではなく目で訴える。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ「ワンワン!」
無自覚な心の叫びと解放、『#彼女はひとり』同様に内から滾る悪意をホラー演出で作為的に見せる技巧は短編でも健在だ。

『Rat Tat Tat』
佐久間啓輔監督の16分短編映画。
女性が抱くトラウマと居心地の悪さはやがて形となって示される。
カットバック、"厭な間と音"で煽られる不安。
ごく一般的な催しが彼女のフィルターを通すことで恐怖演出に変換される。
自他で物事の見え方が変わるのはホラーの本質だ。

『洗浄』
宮原拓也監督の17分短編映画。
感染るでも憑くでもなく、飲み込まれ溺れる。
不快と奇怪な行動が如何にホラーとの融和性が高いのか分かる。
「よく分からないけど実際あったら怖い」感覚が残るのは起承転結及び序破急や三幕構成で語らなくても良い短編の特性を活かした強み。

『VOID』
岩崎裕介の24分短編映画。
人は悲しいぐらい忘れてゆく生きもの。
身近な死に対する自身の抱いた感情と周りの反応との齟齬。
"日常から欠けたり抜け落ちた何か"に対する価値観や認識の違いが違和感から不気味さに変わる時、冷酷や忘却のその先にある人間の虚無の部分を見た。
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