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94歳のゲイのcornnoeigaのレビュー・感想・評価

94歳のゲイ(2024年製作の映画)
4.5
初のポレポレ東中野。タイトル通り、94歳(ご健在)のゲイ男性のドキュメンタリー。現状でさえ性的マイノリティを取り巻く法制度は整っておらず、生きづらさを感じざるを得ない世の中だけど、長谷さんが生きたこれまでの時代は、同性愛は伝染病や精神疾患。長年クローゼットに生きてきた長谷さんのこれまでを知ることは、性的マイノリティが突如現れ、権利を主張し始めた“新たな存在”なのではなく、ずっとずっとみんなと、わたしたちと、ここに存在していたということを再確認できる。そして長谷さんの現在を知ることで、未来を想像しにくい(結婚する権利がない、性別変更に人権侵害的条件が残っている、世に蔓延るシスヘテロノーマティブな家族観とシステムなどによって)性的マイノリティがひとつの未来を得ることができる。私たち(性的マイノリティ)にはあらゆる未来の参考例が必要だし、歳を重ねることが楽しみになれる“ロールライフ”を見つけることは、私たちがこの世の中を生き抜く手段のひとつでもある。
そんないろんなことを感じ、考えさせてくれた映画。帰り道、余韻に浸りながら入った居酒屋で出会った人生の先輩たちとの時間もあいまって最高でした。
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