ボブおじさん

フォロウィング 25周年/HDレストア版のボブおじさんのレビュー・感想・評価

4.0
1998年/イギリス映画/モノクロ/70分
製作・監督・脚本・編集・撮影:クリストファー・ノーラン

そこには天才映像作家クリストファー・ノーランの原点が、いやある意味では全てが詰まっていた。

この監督が後に「メメント」「ダークナイト」「インセプション」「インターステラー」「TENET テネット」を作り上げたことに何の違和感も感じさせない衝撃的なデビュー作。この映画のデジタルリマスター版をこのタイミングで劇場上映してくれたことに感謝する😊

時系列を切り刻みシャッフルする独特の編集は、この映画の中でも既に見られる。過去から未来、未来から過去へと交差する時間軸で紡がれる本作は、むしろ未来から過去へと時間軸を遡る「メメント」よりも複雑かもしれない。

主な登場人物は、わずか3人。低予算の映画ながら、不思議と安っぽさは感じられない。ミステリアスな人物描写と綿密に練られたストーリー展開に、いつの間にか引きずり込まれていく。

わずか70分、モノクロのデビュー作品の中に〝伝説の壮絶な始まり〟がハッキリと刻まれていた。



〈余談ですが〉
監督のデビュー作には、その監督の作家性や思考の根源が隠されている。荒削りなことも多いが、監督の本質を語る上で見逃せない。

そして〝栴檀は双葉より芳し〟とでも言うべきか、後の天才はそのデビュー作からしてモノが違うと感じさせる作品も多い。

「大人は判ってくれない」のトリュフォー
「十二人の怒れる男」のルメット
「激突!」のスピルバーグ
「レザボア・ドッグス」のタランティーノ
「ショーシャンクの空に」のダラボン
「その男、凶暴につき」の北野武
など、デビュー作から〝やっぱりタダの天才じゃん〟と思わせる作品も多い😅

本作もまさにそういった中の1本だろう。ノーランは最初からノーランだったと確信させられた映画だった。