店長

好きでも嫌いなあまのじゃくの店長のレビュー・感想・評価

2.5
視聴した率直な感想は面白くない、ボーイ・ミーツ・ガールを上っ面だけ再構築した作品であると確信した。

人間と人ならざる鬼が関わり、異世界の出来事に首を突っ込み解決する話だが、裏テーマとして家族・特に父親との対話・相互理解がある。

この作品を観て全体で感じたのは、道徳心・バランス感覚の欠如である。一言で言えばヘイトコントロールがうまくない。
学生が文字通りの財布を持たずの無一文で旅に出て、出生の里に向かうのだが、ヒッチハイクに乗せた古着屋開業を夢見るフリマ出店兄弟、旅館、カフェの亭主が出てくる。
もれなくここの人たちは親に連絡を告げずに家出している事を容認している、そしてそれの行為を格好良く見せて正当化している。

フィクションだから、成り立たせる為に家出少年少女を匿う理由などあればいいのだが、特にない。特にボーイ・ミーツ・ガール系作品でここらへんの設定がとても凝られていて、視聴後に納得感のある作品などもある中でこの詰めの甘さはとんでもなくまずい。

次に感じたのはツムギのお父さんのモラルの無さである。好意で車で拾ってくれた柊の父親を里には連れていけない、とツムギのトイレのフリをして降りて、それに便乗して走って逃げていく。

大人がすることとは到底思えない。ギャグタッチで描かれているがかなり不道徳な気がした。柊とツムギ、親が対比になっているにも関わらず、社会的生活を営んでいる柊父が真っ当なのに対して、鬼の父がまともじゃないように見えて、根本のテーマの鬼と人間の交わり自体を多く否定しているように思える。
ちなみにこの父親は脱走するために看守を橋の上から落とした。自分本位のクズなのである。

最後に作中で行いたいあらかじめ設定されたプロットを実行するに大して考えもせずに上記のようにご都合でキャラを動かしているので、全く主人公に感情移入しない。最後のツムギを助ける決意に関しても、こどもが偶然全体に聴こえる内線を押したなどご都合がすごすぎるし、そのセリフ自体に共感出来るものも何も無い。

それで里のみんなが背中押してくれるのは明らかに違和感がある。また、周りに流されていた〜みたいな描写も冒頭に差し込むだけで説得力増すだろうみたいな浅はかな思慮さえも見え透ける。

ボーイ・ミーツ・ガール、思春期の男性の感情は複雑であり、例えば塾の予備校行くことでみんなと一緒で安心している、みたいな作中の表現ひとつで表現できるものでもないし、周りに流されていた、って一言で表現できるものでもない。彼の内面の掘り下げが多角的に行われていないので、便利な使いやすい言葉の方に彼の内面をフィットさせに行っている感じが強く受けてしまう。彼の内面については、キャラクター性については未だに視聴後も理解できていない。

そこまでのキャラクター性も設定されていないと思える。

総じて、浅はかなボーイ・ミーツ・ガールの再構築だった。詰めが甘い。評価2.5が妥当
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