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最後の乗客のkeeeeetのレビュー・感想・評価

最後の乗客(2024年製作の映画)
3.5
2024
17/100

宮城県を舞台にした東日本大震災のメモリアル作品。海外のインディペンデント系映画賞を数々受賞したとのことだが、そういった事前情報は何も入れてない状態での鑑賞。

タクシードライバーがメインキャラクターとくれば「被災地ロードムービー」的な『風の電話』のような話かと思ったら全然違った。想像以上にミニマムで、短編にしても最小限の登場人物、最小限のロケ地で「家族愛」「被災地の今」そして「風化させてはいけない気持ちと忘れてしまいたい 気持ち」といったテーマを描いている。
辛いことは忘れたい心情は『水平線』でも触れている。ポスト3.11を描いた作品において絶対に避けては通れないテーマなのだろう。自分も被災者側の立場だが「あの日を忘れちゃいけない」みたいな使命感は無い。この主人公も忘れたい側の人間だが一方で過去の後悔にも縛られている。

覚悟を持って忘れることで前に進む物語だと解釈している。
それゆえにエンディングの写真の使い方はちょっと疑問だったりする。メッセージ性は分かるけど「前に進ませてくれよ」という感想を抱いてしまった。

キャストの中だと冨家ノリマサさんが特に良かった。哀愁と不器用を凝縮したような表情と立ち振舞い。なんというか、ルックがタクシードライバーすぎる。

アイドルに疎いので主演の岩田華怜さんがいつAKBに入っていつ卒業したかも分からないけど、舞台挨拶で生で見たらやっぱ華やかさが違うわ。
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