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室井慎次 敗れざる者のpapandaのレビュー・感想・評価

室井慎次 敗れざる者(2024年製作の映画)
4.1
ドラマの第1回からリアルタイムで見続けてきた僕としては、青島さんやすみれさんや湾岸書の皆さん、それに室井さんのその後が頭のどこかでずっと気になっていた。だから今回の映画はやっぱり嬉しいしちょっと不安だった。犯罪被害者の家族と加害者の家族を引き取って里親となって暮らす室井さんは、いつも眉間に縱皺を寄せてスーツとコートでビシッと決めて颯爽としている姿とかけ離れていてイメージしづらかったが、映画を観て、なるほどこれもありだな、と思った。3人と1匹で暮らす姿は静かだけど信頼に溢れていた。今回は被害者家族タカの方がメインだった。留置所での接見のシーンに彼が味わった悲しさ悔しさや怒り、母や室井さんへの愛が感じられて胸が熱くなった。次回は加害者家族リクの物語になりそう。脚本の君塚さんには殺人容疑者の家族を描いた「誰も守ってくれない」という映画があるので、リクの物語もしっかり描いてくれると思う。リクや室井さんへの地域の白い目がどう変わっていくかとか。それから杏の存在。彼女はサイコパスなのかただの嘘つきなのか、不気味で怖い。そしてメインの殺人事件は昔の事件とどう繋がっていくのか、どう広がっていくのか、興味深い。ラストシーンの室井さんの燃えるコートは室井さんの敗北の印なのか、室井さんが新しく立ち上がるイメージなのだろうか。あと1ヶ月が待ち遠しい。
柳場さんは去年の今ごろは大阪の下町の銭湯のおっちゃん梅吉でものすごく砕けた顔を見せていたが、作品が変わればガラッと変わるなぁ。
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