まじさん

ジョン・カーターのまじさんのレビュー・感想・評価

ジョン・カーター(2012年製作の映画)
2.0
愛され過ぎた原作の、遅過ぎた映画化。/
ディズニー110周年を記念した、鳴り物入りのスペクタクル超大作!多くのストーリーテラーがリスペクトし、『スターウォーズ』『スーパーマン』など、数多くのSF映画がオマージュを捧げて来た、100年前の傑作SF小説『火星のプリンセス』の映画化は…
…記録的な失敗に終わった。

原作『火星のプリンセス』は当時、独創的な冒険小説として受け入れられた。ロケットもない時代、誰も見た事のない火星を舞台に、どこにでもいそうな地球人がスーパーヒーローになってプリンセスを救う話だ。
当時の少年たちは、主人公になりきり、読みふけったに違いない。

だが、現代に於いては、人類は月の土を踏み、火星からは毎日、何枚もの写真が送られて来る世の中だ。当時とはいささか事情が異なる。もう火星は、誰も見た事の世界ではなくなった。/
また、数多くのSF映画がオマージュを捧げて来た結果、我々は知らず知らずの内に『火星のプリンセス』の、数多くの断片を知ってしまっていたのだ。それは映画を見れば一目瞭然。誰も見た事のない筈の映画は、残念な事に、どこかで見た事のある断片を、繋ぎ合わせたに過ぎない映画になってしまっていた。100年前のオリジナルは、すっかりダシガラになってしまっていたのだ。誰も言及してはいない事だが、重力の軽い異星でスーパーパワーをはっきする設定は、スーパーマンの元ネタにもなったと私は思っている。

まぁ、西部劇時代の要素が入っていれば、警戒するのも無理はない。ハリウッドでは、西部劇は当たらないと言うジンクスがある。

また、この映画がCGによって作られた事も、残念な要因だ。CGを駆使して「誰も見た事のない映像」と言われても、もはやそれは興味の対象ではなくなってしまった。四本腕の火星人がコマ撮りで作られていたなら、きっと、もっとワクワクしたに違いない。
『ジョン・カーター』は70~80年代に特撮で撮られるべき映画だった。この頃に撮られていたなら、今では伝説的な作品になっていたに違いない。