odyss

カムイ外伝のodyssのレビュー・感想・評価

カムイ外伝(2009年製作の映画)
2.5
【『カムイ伝』じゃなく『外伝』のはずだが】

そこそこ楽しめはしました。言いたいこともあるけれど。

ロープ使ってどうのこうのというのに批判的な方も多いようですが、そういうところは気にならなかった。むしろ問題は、これが『カムイ伝』じゃなく『カムイ外伝』であることに納得できるかどうか、というところじゃないでしょうか。

私も全部読んだわけじゃないし、それもだいぶ昔のことだからうろ覚えですけど、『カムイ伝』は唯物史観に則った「搾取する権力者・対・搾取される民衆」みたいな図式が見えるマンガですよね。それに対して『カムイ外伝』のほうは、カムイと彼を追う忍者の秘術を尽くしての対決だとか、抜忍の孤独感だとか、その中での他者との交流に見えるエロティシズムだとか、そういうところが売りの作品でしょう。

だから、映画化するなら「外伝」のそういった特色を打ち出していかなきゃいけない。だけど、それがどうも不足しているんですよ。エロスも孤独感も不足。秘術を尽くしての闘いも物足りない。

飯綱落としを破ろうとするくのいちとの対決は、「外伝」では結構インパクトのある挿話なんだけど、この映画では最初のあたりで軽く片づけられてましたよね。本来は弟(だったかな)が飯綱落としでやられて、その敵討ちをくのいちが画策するという話です。そういった情念だとか、くのいちのエロティシズムだとかが表現されて初めてこの挿話は魅力が出るのだけれど、そのあたりを無視しては是非もない。

バカ殿をめぐる話も、なんかチャチだし、もっと分からないのは、なぜ小林薫がわざわざ殿様の愛馬を狙うかですね。目立っちゃいけないのに、意図的に目立とうとしているみたい。馬なら他にもいるだろうに、変ですよ。

というわけで40点かなと思うけど、マツケンの健闘を称えて10点オマケ。
odyss

odyss