「ピコナ、家がない」

国内外で数々の映画賞を受賞した作品。

父の死後、生まれ育った実家の処分について、3兄弟はそれぞれ父との記憶に想いを馳せることになる。本作は、そうした彼らの複雑な感情の発露を丹念な筆致で描くことに成功している。

加えて特筆すべきは、亡き父との想い出へフラッシュバックする際の画面サイズの切り替えであろう。その特徴的な映像表現は、淡い映像との親和性から観客の感情を刺激させる。

なお、一見冗長になりがちな淡々とした映画スタイルも、上映時間90分未満は喜ばしい。Filmarksの記載は誤りであることを付言しておく。