2025-93(51)
舞台:🇻🇦
年代:教皇死去3週間前→教皇選挙前日→1日目→2日目→3日目
第95回アカデミー賞で国際長編映画賞ほか4部門を受賞した「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督が、ローマ教皇選挙の舞台裏と内幕に迫ったミステリー。
ローレンス枢機卿を「シンドラーのリスト」「イングリッシュ・ペイシェント」の名優レイフ・ファインズが演じるほか、「プラダを着た悪魔」のスタンリー・トゥッチ、「スキャンダル」のジョン・リスゴー、「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニらが脇を固める。第97回アカデミー賞で作品、主演男優、助演女優、脚色など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。
●あらすじ
全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派・カトリック教会。その最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の閉ざされた扉の向こうで極秘の投票がスタートする。票が割れる中、水面下でさまざまな陰謀、差別、スキャンダルがうごめいていく。選挙を執り仕切ることとなったローレンス枢機卿は、バチカンを震撼させるある秘密を知ることとなる。
もっと様々な陰謀が複雑に絡み合っているのかと思いきや、蓋を開けてみたら一匹のネズミが裏でコソコソしてたくらいで激しい権力争いという感じではなかった。
終盤まではそれなりに重みのある展開で楽しめていたが、テロで教会がぶっ壊れる辺りから一気にエンタメ化して物語の帰結までもあっさりと進んでしまい、真剣に話を追っていただけに気抜けしてしまった。
超時間丁寧に煮込んだ薄味のスープに仕上がり寸前でぶつ切りの牛肉とカレー粉を投入してカレーとして出された気分。
宗教においてのジェンダー問題はポリコレとはまた別の枠組みであることは重々承知の上だが、近年ではどうしても既視感のある構成に感じてしまう。
「“確信”してはいけない。“疑念”を持つ人間が教皇に相応しい。(確信と信仰は共存しない。)」
という言葉には色々と考えさせる。
旧約聖書においては、神への“疑念”が楽園追放のきっかけとなり、人間に死がもたらされた。
キリスト教でいう“救い”とは主(神)と共に生きること、すなわち神にエデンの園に戻ってくることを許されることである。
しかしここであえて“疑念”を持つことが重要であると言うこと、また「教会は過去でも伝統でもなく前進のためにある。」といった言葉も加味すると、故教皇をはじめとする“信仰への疑念”というのは表層に見えるもの(教会)だけでなく、かなり根源的なものに対する投げかけであったのかもしれない。
【memo】
●バチカン:
イタリアのローマ市内に位置するバチカン市国とカトリックの総本山の総称。
国家としてのバチカン市国(ラテン語: Status Civitatis Vaticanae、イタリア語: Stato della Città del Vaticano)は、1929年にラテラノ条約により独立国となった南ヨーロッパに位置する国家で国土面積は世界最小である。
ヴァチカンやバティカン、ヴァティカン、ヴァティカーノとも表記される。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%81%E3%82%AB%E3%83%B3