ファーストシーンからすでに面白いし、尖った白黒のビジュアルに張り詰めた空気感や演技など素晴らしい点はいくつもある。
んだけど、これ実際にデンマークで起きた事件を元にしてて、結構改変が入ってるというところにかなり引っかかってしまって素直に見れなかった。個人的に事件の映像化は、犯罪をエンタメ化して消費するその性質が嫌いなので。そのうえ改変してしまったら余計事実があやふやになって伝わってしまう。
あと、この映画の目的がどこにあるのかよく分からなかったというか、主人公は事件の第三者であり、事件だけをメインに描かず、主人公の女性としての社会的な困窮や逃れられない母性など複数のテーマを取り入れることで、いい意味では事件で注目されなかった視点を描いてはいるんだけど、悪い意味では事件自体が映画の一部にしかなっておらず、そうなると結果として実際の事件を創作のネタに縮小化すらしてしまってるように思えて納得できなかった。