天才。あらゆるしがらみを脱して、大きく息を吸って吐き出すように、自然に、浮足立って、不安定な情動を、その代え難い不安定さを残したまま、リズムよく繋いでゆく編集感覚に、なんか。不安感の中に潜む奇妙な爽快感を覚えて、なんか、凄えなあ、と。このセンス凄えなあ、と。ほんでもって、スクリューボール・コメディの変奏曲みたいな物語が勢いよく転げ落ちてゆく先に、一体なにが待ってんだろうな、やっぱボーイミーツガールだよな、ボーイミーツガール最高!って感じでノホホンとしていたら、急に、静かな拳が飛んできてぶん殴られた。やっぱ人間の魂ってのは根本のところで何処へも行き着けねえんだな。そう思ってちょっと淋しくなったけど、同時に、この強烈な感動も何処へも行き着けねえってことです。