前半のモキュメンタリー的な前触れが長いが、中盤のヒロインが暴れて捲し立てる→ロードムービーへ移行するシーンでグッと興味が湧く。
バイタリティ溢れるヒロインやダメ息子の母親のキャラ立ちが良いが、ユーリー・ボリソフの『コンパートメントNo.6』との配置が似ている(ステレオタイプな強面のイメージだが)こと。ショーン・ベイカー監督の過去作と比べると背景や対比の妙が奇麗ではないこと。ラストから作ったような逆算的な映画で、描きたいことは分かるがダイレクトに伝わってこないことが惜しい。
無音のエンドロールはやり過ぎだが、ショーン・ベイカー作品の一貫するテーマである、キラキラした世界に打ちひしがれる格差社会における人間のバイタリティに見入ってしまうことも。